
2025年夏の参院選に向けて、立憲民主党が“伝家の宝刀”ならぬ“諸刃の刃”を抜いた。
6月24日、立憲民主党は常任幹事会を開き、元参院議員の蓮舫氏を比例代表で擁立することを正式に決定した。これまで支援団体である連合の顔色をうかがって“様子見”を続けてきたが、ついにゴーサインを出した格好だ。
蓮舫の擁立を嘆く支持者たち
だが、この擁立劇に、党内外からは早くも悲鳴とため息が漏れている。
連合内部では「蓮舫は当選するだろうが、その陰で我々の組織内候補が落ちる」「比例の得票が全体で増えるとは思えない」といった声が支配的だ。比例代表という“有限の椅子”を巡る選挙において、炎上型政治家の起用は、味方をなぎ倒す“蓮舫爆弾”になりかねない。
実際、立憲の支持基盤にとって、蓮舫氏の擁立は支持拡大にはマイナスに働きそうだ。かつては民進党代表まで務めたが、党内での求心力を失い、東京都知事選でも共産との共闘を振りかざして3位敗北。あれだけメディアに露出しながら、まさかの“石丸以下”での敗戦は、ある種の賞味期限切れを印象づけた。
それだけに、「もう国政は考えていない」と明言していた本人が、あっさりと掌を返して再び国政復帰に名乗りを上げたことへの不信は根深い。
ある政治ウォッチャーはこう吐き捨てる。
「いま蓮舫を出すのは、火薬庫に火を投げ込むようなもの。国民民主を崩壊させた山尾志桜里の二の舞になる。あの二人のブーメラン芸はほぼ同じ系統であり、嫌われ具合も近いものがあるから」
つまり、彼女一人が目立ちすぎることで、周囲の候補の存在感がかき消され、結果として“身内潰し”に繋がるという構図だ。
自民党からの最大の刺客
さらに、蓮舫氏にはその鋭すぎる物言いと、立場をコロコロ変える“風見鶏”ぶりに対する強烈なアレルギー反応も根強い。SNSを中心に「また出てきたの?」「嫌いなタイプ」といった声が飛び交い、もはや“嫌われ力”は自民党に匹敵するものがある。
冷静に考えれば、比例は「嫌われないこと」が何より重要な戦場だ。そんな場に、わざわざ嫌われカードを切る立憲の判断は、あまりに短絡的と言わざるをえない。
「まるで自民党から送り込まれた刺客みたいだよ。自爆テロで仲間を巻き込んで終わるんじゃないか」。そう語るのは、かつて立憲に投票したという中堅労組員だ。
いずれにせよ、この擁立で立憲が得るものより、失うものの方がはるかに多いことは間違いない。選挙戦が始まる前から、すでに終わっている。そんな不吉な気配すら漂い始めている。